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更新日:2016年3月11日

女性医師としての体験談 静岡県立総合病院 副院長 森 典子 先生

医師として母として

 みなさま、お元気にお過ごしでしょうか?静岡県立総合病院の森典子です。昭和55年卒の私の文章は、時代の違う皆様に響くかどうかわかりませんが、女性医師としての体験を書かせていただきます。

 私は当初より、医師という職業は社会から私が与えられたもので、これを少なくとも全うすることは当たり前だと思ってやってきましたので、私の持つ24時間を如何に家庭の仕事と分け合いながら行うかが常に課題でした。すなわち、決して要領がいいわけではない私にとって、いずれもほどほどにしかできない状況でしたので、ポリシーを持ってその時々に応じた優先順位をつけて取り組み、どこで妥協するかがポイントでした。しかし、想定通りにははかどらず、ストレスを感じることが常でした。

 たとえば、夏休みの自由研究は一大イベントです。自主的に宿題をこなすことを知らない森家の子供たちは、親が持つ大変限られた時間を使ってみていくしかありませんので、計画的な対応が必要です。夏休みの初めの週末に自由研究のテーマをきめ、実験方法や日程をつめ、ウィークデイに子供たちが出した結果を各週末にまとめる、これを繰り返しながら結果まとめ、そこからの結論をひきだし、文章にすることで3人の子供のそれぞれ小学校3年から6年の夏休みの自由研究を仕上げました。これが子供たちの人生に役立ったかどうかは全く定かではありません。しかし、当時は大変でしたが、親子でそれなりに楽しんだものです。

 家では母ですが、病院では医師として、気持ちはほぼ100%切り替えて仕事をしました。とにもかくにも家の仕事も病院の仕事もきりがありませんので、どちらも中途半端なことは十分承知で時間を区切って対応してきました。患者の急変などが重なっても計画が破たんしないよう、すべて早目の対処をして難を逃れるようにしていました。幸い、大きな事無く子供たちも船出することができています。

 挙児希望の女性医師には、母としても医者としてもとどまることのない繁忙さが待ち受けています。どのように対峙するかは各個人の資質や度量によって異なるとは思いますが、皆さんには「要領よくこなし」、こなしながら双方の仕事の中に喜びを味わってもらいたいものです。

 

県総森先生 平成28年3月 静岡県立総合病院 腎臓内科 副院長 森 典子