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更新日:2020年10月16日
こんにちは。ふじのくに次世代医師リクルーターで静岡家庭医養成プログラム/浜松医科大学医学部附属病院総合診療専門研修プログラム専攻医2年の吉岡優です。
私は2011年に浜松医科大学に入学し、伊豆半島東岸に位置する観光地・伊東市にある伊東市民病院で初期研修を行いました。そこで総合診療(家庭医)の道に進もうと決心し、現在は菊川市家庭医療センターでクリニック外来・訪問診療・小児ワクチンなどを行いつつ、中東遠地域の各病院で内科・小児科・整形外科・皮膚科・産婦人科などの研修を行っています。
さて、“総合診療医”とは、何をしている医師なのでしょうか?「診断が付かない患者を診断するプロ」「訪問診療する医師」「各科から外れた患者だけを診る医師」など様々な認識があるかと思いますが、総合診療医の理念を簡単に言えば、“患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ家族・生活背景・地域まで含めて多角的に診て、患者の生活を支援する医師”です。
総合診療医は、病院総合医(Hospitalist)と家庭医(General Practitioner)に大きく分かれます。前者は、病院で主に内科系の病棟管理全般や一般外来診療、病院運営、研究・教育などを行う医師です。現在の日本の医療の問題点として、臓器別専門医が、専門に集中できていないという点があります。初期研修先の伊東市民病院の提携病院(東京ベイ浦安市川医療センター)では、ホスピタリストがどのような内科疾患であれ全て主治医として病棟管理を行い、臓器別専門医は心臓カテーテルや消化管内視鏡などの専門検査・治療に専念し、適宜ホスピタリストに助言を行う形を取っていました。米国式ホスピタリストがいれば、より効率的な医療が提供できると考えます。
一方、後者の家庭医は、主に診療所で地域住民の健康のために働く医師です。日常よく遭遇する健康問題に対して年齢や疾患を問わず、予防医療・他疾患併存・心理社会的問題なども含めて包括的に対応する、要は昔の”地域のお医者さん”です。現在の私の医学的な目標は、患者の健康問題を、各臓器別専門医レベルで対応できるようになることですが、それだけでは複雑性を持つ患者を健康に導くことはできません。例えば、糖尿病で通院している患者で、HbA1c 11%とコントロール不良でも内服をしてくれない。しかし、他院で統合失調症で通院しているだけでなく、認知症の母親と2人暮らしで大変な状況。このような症例でも、医学面にとどまらない問題解決能力を発揮できることが、家庭医の専門性の一つと言えるでしょう。
AIによる機械化が進む現代だからこそ、逆説的に人間の温かみを持ち、診療所に来ない住民も含めた地域全体を支える医師が必要とされます。それが、我々家庭医です。
この文字数ではまだまだ伝え切れません。是非、森町・御前崎・菊川の家庭医療センターへ見学に来てみてください!
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